ぼくはFinepix党だった。富士フイルムが初めて縦型のデジカメをリリースしたとき、ぼくの心はすっかり奪われてしまった。美しい。なんてかっこいいカメラなんだろう。しかし最初のモデルは単焦点レンズだった。今でこそズームレンズを一本も持っていないが、当時はズームがつかないと使いにくいのではないかと思っていた。そして3倍ズーム付きのFinepix 1700Zが登場する。藤原紀香がテレビCMのイメージキャラクターをやっていた。
画素数は150万画素になって、メディアは相変わらずスマートメディアだったが、32MBが標準になっていた。このカメラの解像度はSXGA 1280×1024ドットだった。アスペクト比が5:4になる。今でこそデジカメのアスペクト比はフィルムに倣って3:2が主流であるが、当時のデジカメはそんなことどうでもよかったのだと思う。それよりも撮った画像がぴったりモニターに収まるのが重要と考えたのか知らないが、正方形に近い5:4というのは後にも先にもこの時代しかなかったように思う。
縦型デザインはただかっこいいだけでなく使いやすい形状でもあった。縦に長いので指全体でホールドすることができ片手で操作が可能だった。もちろんブレないように撮るには両手で支える必要があったが両手で持っても持ちやすいデザインだった。
富士フイルムもリコーと同じくわりと早くからデジカメ製造に乗り出していたメーカーである。自社の基幹産業であるフィルムを駆逐する可能性があるデジカメに乗り出したのは興味深いが、当時デジカメ界でFinepixブランドは絶大なる人気を誇っていた。
さて1700Zであるが、愛用しすぎてやがてレンズバリアが時々開かない不具合を見せるようになって、とうとうまったく開かなくなってしまった。レンズバリアのトラブルはよく報告されていて1700Zのウイークポイントだったのだろう。
画素数も150万画素になるとかなりまともな描写をみせるようになった。だからぼくもDC-3Z以上に写真をとりまくったものである。バッテリーがちゃんと使えるレベルに持ったのも大きいだろう。
富士フイルムは縦型路線をしばらく続けていくが、たしか画素数詐欺と叩かれた4700を最後に他社同様の横型へとシフトしていく。こうした形のカメラは二度と作られることはないだろう。
2001年撮影 オリジナルデータ
2001年撮影 オリジナルデータ
2001年撮影 オリジナルデータ